2020/11/04
「練習しても弾けない」「音を追うので精一杯」など、よく耳にする生徒さんのことばです。技術的なことはさておき(技術は練習すれば身につきます)、なぜ弾けないのか、どうすれば弾けるようになるのかを考える必要があります。それは「曲の構造を知る」ことだと思います。 どんなにシンプルな曲でも「設計図」があります。例えばハ長調の「チューリップ」ならば始まりは "ドレミ、ドレミ、" と3音の上昇が2回続きます。とても簡単なことかも知れませんが、これを理解することで次の音を予見し、指は自然と鍵盤の上を進むのです。複雑で難しい曲ならなおさら、コード進行やメロディーの構造を知ることが大事です。「そうか!」と納得した瞬間に「難しい」呪縛から解かれるはずです。レッスンでは、楽譜を読み解く作業を必ず行います。聴き手に対してより説得力のある演奏をする、それが目標です。
2020/10/27
ことばには「自然な流れ」があります。例えば「おはようございます」ということば。「お はよう ござ います」と区切るのは不自然な気がします。 音楽の世界も同じで、メロディーに自然な流れを作るための適切な区切りがあります。「フレーズ」というのですが、そのフレーズを理解するのが初めはなかなか難しい。そんなとき、生徒さんとメロディーにことばをのせてみます。歌と同じですね。ですが既存の歌詞を歌うのとは違い、自分で考え付いたことばを音にするのは創作意欲を掻き立てると同時に、適切な区切りを理解するのにも役立ちます。 私たちの何気ない会話も素敵なメロディーに聴こえてきたら...そんなことを想像しながら、自分らしいことば選びを心がけています。
2020/10/21
職業柄、日頃から何十人もの異なる「手」を見ています。写真を見ただけで「この手はこの子!」とわかる自信もあります。 成長によって手の大きさや指の筋力が変わることはもちろんですが、それに加えてそれぞれの手には個性があって、その分、ひとつのテクニックを身に着けるのに何通りものやり方があるのではないかと考えています。私はその個性を大切にしたい。全員が全員同じやり方で弾けるようになるとは限らないし、生徒さんと一緒に実験しながら練習方法や弾きやすい奏法を模索することが大事だと思います。自分の手と仲良くなって、ピッタリな奏法を探していくこと、それが上達への近道だと考えます。